建築情報学会キックオフ準備会議第2回

BIMスペシャリスト2人が現状を切り刻む
10plus1.jp/information/2018/04/archinfo-kickoff02.php

石澤宰氏、提坂ゆきえ氏が質疑応答形式でディスカッションされた。
質疑内容はBIMの実務的な内容や日本での現状について、まさに「そうだそうだ」と言いたくなるような内容まで多岐わたっていた。

全体を通して、建設プロセスにおけるBIMは迷いながらもユーザーが増えていっている。さらなるボトムアップと普及のためには、より具体的な未来が共有される必要があるように思う。ロールモデルともいえるのかもしれないが、個々が壁にぶち当たる時に、目指すべき光が必要なのではないか。

議題として面白かったこと
海外と日本の比較についてに議論で、アメリカでは設計・エンジ・施工が分離してツールを共有することは渇望されているが、日本では設計施工をはじめ、建設プロセスの橋渡しはスムーズなのになぜBIMなんかやるの?とアメリカ人から言われるという議論だった。BIMをどう活かすかという議論には建設プロセス(発注や契約も含めて)について議論することが欠かせないが、日本でどうやるか、さらに自分的にー掘り下げると設計事務所としてどうやるのか、という議論はもっとーなされるべきなのかもしれない。
設計図はなくなるのか?という問いに対して、設計者の意図を伝えるものは無くならないのでは、という回答があった。BIMモデルが設計意図を完全に伝えきれないというのはなるほどと思った。設計図が高次情報であるというツイートもあったが、意匠・構造・設備などと分かれているように、情報が抽出されたものが図面であり、コミュニケーション手段であることを考えると、言語会話でもお互いが考えていることから情報を選別してアウトプットするのが有効なコミュニケーションになるように、情報が抽出されることの重要性は建設プロセスにおいて必須であるのかもしれない。
他の場でも言われているように、コラボレーションも重要なキーワードである。情報を一元化することで、様々な人を巻き込むことが出来れば、建設(設計)プロセスに一石を投じることが出来る。抽象的ではあり、現状の設計プロセスの問題点があるとしたらもっと議論されるべきである。

質問の内容にも感じるが、業界全体が前を向いているという感じではない。懐疑的であると言った方がいいか。これは想像だが、手描き→CADのツールの革新は仕事の効率という利の側面がわかりやすかったのかもしれない。(実際は効率ではなく、設計手法にも影響を与えていると思うが。)BIMツールはそれとは違う変革がある、それは建築をコミュニケーションする情報(記号、言語)の変革であるといえる。そのとき我々建築家が目指す建築はどうあるべきなのか。当たり前だが、突き詰めるのは人が見る・感じる・触れる空間ということになる。