archifuture 2019
対談:ブロックチェーンは建築業界を激変させるプラットフォームとなるか
岡田仁志氏によるブロックチェーンの解説
ブロックチェーンのキーワードは「中心がない」「2重使用がない」ブロックチェーンエコノミーはCODE、経済、法規制の3層構造をもつ。シェアエコノミー、例として、不動産の使用や収益のプラットフォームとしてブロックチェーンを使う。
資源の数よりも人の数が多い都市ではシェアの必要性が増している。
対談(岡田+山梨+池田)
ブロックチェーン=お金の再発明という意見もあったが、分かり易くそういうことも出来るが、単純すぎる気もする。
取引のスピードと簡便さが高まるため、使用と
収益の細分化がおこる。例えば、不動産を5分だけ所有する、といったことがあり得る。
所有者の複数性を可能にすることは、民主的な意図が都市をつくることにつながるのではないか。(これはまさにBIMコイン!!)
ブロックチェーンが有効なものとして「誰が仕切るかはっきりしないもの」というシンプルな解が投げかけられ、設計者、施主、請負者という三角関係のパワーバランスが微妙に変化しうる日本の建築会において、IPDを可能にする手法となりうるのではないか、という可能性が示された。空調機や照明を1つ1つ設置することで対価が支払われるるというのは極端な例であるが、建築の作り方に変革をもたらす可能性を感じた。
今後、議論・発展される分野なのかもしれないが、誰のための手法なのかということをきちんと意識して、導入されていくべきものである。
タイトルにすごく期待していた。栃木県の建築事務所協会の青年部会が2013年から学生向けのBIM設計コンペティションを開催しており、その取組の紹介であった。こういった活動をしかも大物講師を呼びながら続けて来られていることは素晴らしくエネルギーを感じた。
疑問に思ったのはBIM設計コンペティションとは、設計コンペティションと何が違うのか、BIMツールを使うということなのか、3次元モデリングをするということであればBIMでなくてもよいが、BIMと名付けていることの特徴があるのかといったことだった。
スライドでは、各年の学生案のパースのみが見せられたので、それがBIM設計なのかどうかが伝わって来なかった。会場ではお話することが出来なかったので、メール質問してみよう。
セミナー:コンピュテーショナルデザイナーという新しい職能とその責任
杉原 聡氏
computational design frame workとして
①design engeneering デザイン・エンジニアリング
②data driven design データ・ドリブン・デザイン
③imagenative design イマジナティブ・デザイン
という3領域を提示
実際のコンピュテーショナルデザインは3つが混在していくことがあるという解説だった。
5つの手法として以下が示された
1.曲面のパネル化 2.部材のモジュール化 3.形態の合理化 4.構造/環境/データの最適化 5.エージェント・ベース・アルゴリズム
複雑なパネルや形状の設計・製造やユニット化やパネル化、形態合理化、最適化などの事例が複数提示される。1つ1つのプロジェクトがとても美しく個性的で未来的であった。複雑系のデザインを製作レベルの実現性まで完遂することの粘りとセンスに感動した。CNC製作機にダイレクトにデータを送り、形状を実現するためにカットの順番まで指示データを作成したというから驚きである。
コンピュテーショナルデザインは発展途上であり可能性が無限に広がっているため、研究と実践の両立・サイクルが重要であると語る。
コンピュータを用いることで複雑な形態・解を導き出す、闇雲に複雑さを生み出すことは罪であると思うが、複雑さを実現するハードルが下がる、なくなる時に建築の可能性はまた広がるのだと思う。単純な形態に罪はないということは言い切れないのだから。
パネルディスカッション:現場所長が語る、BIM/ICT活用による施工現場の革新
スーパーゼネコン5社の方々からBIM/ICT活用の現在地が語られた。
キーワードをピックアップする。
フロントローディング、協業、分かりやすさによる人材育成、デジタルモックアップ・VRによる早期承認、干渉確認、出来方管理
どんどん発展しているのは間違いない。人手不足や人材育成、手戻り回避、安全管理など、現場が抱える課題に答えてくれるツールとしての可能性があるため、パワーを使って発展させておられるのだと思う。こうした発展を聞くと、これからどのようにして横に拡がりをみせていくのか、こうした取組を行う人が特殊でなく、普通となる日は来るのか(すでにそうなっている!?)拡大化の際に建築に携わる者の職能・必要な知識はどう変わっていくのか、着実に人材を育成させていくことが出来るか、といったことである。それは設計→施工へのスムーズなデータ受渡しということも関係してくる。(組織設計事務所の人間としての意見)
未来への展望として、デジタルツイン、センシング、図面が無い施工、リアルシミュレーションなどがあげられた。
BIMが常識化される未来があるとしたら、その根幹には情報がある。情報の構築の仕方、扱い方によって、こうした技術の効果が何倍にもなるし、何分の一にもなるような気がしている。建築・都市の未来はワクワクするものが待っているのかもしれない。