U35

U35の展示をみて、シンポジウムの議論を聞いて感じたこと

 

建築業界で積み重ねられていたであろう議論とは異なる切り口の考え方、思想が示されたとうことを感じたし、そういう議論も多くあった。それが令和という新しい時代の生まれた年に提示されたことがとても意味のあるように感じた。新しい切り口は既往の議論の末に迎えた今の状況に対するカウンターパンチとしての響きがあったことは間違いない。

展覧会の図録に載っている出展者の座談会には平成の消費、スクラップアンドビルド、グローバルな工業化の後の時代に建てる意味は何なのかを問うていく必要がある。とあった。共感する。

ここで私が考える既往の議論とは建築の外にある問題に目を向けながら、建築の領域に閉じてしまうことである。感じている問題を解決するにはシフトが必要であるという感覚は世代に共有されている何となくの感覚なのかもしれない。

議論を聞いていて感じたこと、建築の議論はそれが周囲・単体に関わらず、誰のためのものなのか、は大切にする必要があると思っている。当然のことであるが、これを忘れてしまうと作ることの目的の本質を見失ってしまうような気がしている。誰かのためになるから、それが建築のモチベーションであるべきである。上記と同じ出展者の座談会で建築に込めたメッセージは誰でもわかるようにするべきであるという意見があったが、それにも共感する。

建築展とコンペティション・があることでとても充実した議論が交わされていた。シンポジウムの冒頭に日本建築会はなぜこんなにも継続して優れた人物を輩出するのか、という話題があったが、こうした議論があることも1つの要因であると思う。世代の違う人たちが出展者それぞれの提案・思想について真剣に意見を述べる。その意見が建築のこと、建築を使う・見る誰かのことを思っているからこそ、シンポジウム会場のあの独特の盛り上がり感が生まれているように感じた。個人的にとても充実した時間だった。