みんなの森 岐阜メディアコスモス

図書館について

やはり注目したのは、上階の図書館の木造格子屋根とグローブの存在感である。空間全体を覆う木造格子屋根のうねる起伏は空間全体に人工物の中ではないような有機的な雰囲気をもたらしていた。

グローブによって室内に拡散される光が均一ではなくグラデーショナルに拡がる雰囲気が木造格子屋根が作り出す空気感を倍増させていた。グローブの下は個々が違った居場所として設えられ、思い思いに過ごす人がたくさん居た。本棚の間に居場所があるのとは違う、ごく自然に本棚と居場所が混じり合っているような、混じり合っているというと作為的な感じがするのだが、より自然な感じがする。

このように感じる理由は空間に対するもののバランスにあるのかもしれない、つまり容積に対して本棚がある割合と人の居場所、動線の割合が絶妙なために、恣意性を感じなかったのかもしれない。それには配架のプランニングのうまさもあるのだと思うが、本の蔵として、蔵書を下階に納めることで、空間生が大切にされているとも言えるように思う、また、本棚とグローブ以外の学習室やトイレなどはコンクリート打ち放しの箱として巧に端っこへコントロールしている。木造格子屋根をシンプルにみせるために照明、配線、スプリンクラー、防火区画は苦心しているようだったが、天井面の格子はピュアであった。

グローブは床からの輻射熱をその場にとどめるなどの環境装置としても効いているようである。外壁側のペリメーターはそれでも空調が必要、当然であるが。

 

館全体について

1階はギャラリー・ホール・活動室などがあり、コンビニ・カフェも入っていて、2階が図書館である。書庫が2層なので建築基準法上は3階なのだと思われる。

1階はバックヤードが明確にゾーニングされ、それを取り巻くように活動ゾーンが広がっている、2階の360°広がる空間とは違い、個々の場所がしっかりと定義されている印象だった。

使い倒されているという印象が強かった。ギャラリーでは市民展、ホールでは地元劇団の公演、ホワイエの交流スペースは小中高生がたくさん居て、コンビニもカフェもけっこうな列を作っていた。大型連休中とはいえ、地域の核施設なのだろう。

 

外観について

正直、この施設の外観はほとんど理解できないでいる。自分の未熟さである。

建物の輪郭に内部の有機的屋根形状の切断面をみせるような部分があり、要はスパッと切ったボリュームというイメージなのだと思うが、アルミカーテンウォールの外側に木材を貼り付けることで、木の線材による意匠が試みられているようにおもうのだが、その理由が分からなかった。木材表しという選択肢に対して軒の出の寸法をあの程度に抑えるべきだったのだろうか。

そんなこと言えるのも木材の変色の様子を見たからなのかもしれない、竣工後すぐに見ていたらまt見方は違っていたのかもしれない。木材の変色も当然設計者の頭にはあったと思う。

街に対しては舗装路を挟んで建つので、全面の大通りからはほぼ木々の間に隠れてしまうような優しいスケールであった。外のベンチやテーブル(さりげなくデザインされていた)で親子連れや中高生が気持ちよさそうにすごしていて、地域の方々にとってとても良い場所なんだろうと感じた。