鳴門市民会館

閉館前の公開があったので、鳴門市民会館をみてきた。

施設公開に合わせて施設紹介展示があったのだが、展示は施設や設計者が紹介されていて、小さな展示だったが図面があったりなどして、おもしろかった。

設計者の増田友也さんは、同郷(淡路島出身)の建築家の先輩である。ということを知ったのは社会人になってからだった。

市民会館はコストへの配慮もあり鉄骨造である。増田さんはRC(打ち放しの表現が多い)の重厚なデザインの印象が強いが、スパンをとばすためのトラス柱のデザイン、トラス梁と天井を組み合わせたデザインは清々しい空間を生み出していた。体育館と劇場の合わせ技のような施設用途に対して、要素をそぎ落としながらも、折れた面状の天井や、採光を取り入れるサッシュワークは空間のバランスを保っていた。

隣接して開放廊下でつながる市庁舎のデザインにも構造的工夫が取り込まれ外壁が軽やかにデザインされていて、それが市民会館と対話している。古くならない意匠は今でも輝いていた。

 

いい建築は本質的に古くならない、目新しいことではないがそんなことを思う。そうは言っても更新の時を迎える、次にこの場所を引き継ぐにはこの建築が持つ意味を引き継ぐというプレッシャーがある。鳴門市内に多くの建築を設計した増田さんの建築が凛としてそこにあることがまちをつくるうえで大切だったからこそ、建物がなくなることを惜しんで多くの市民が訪れる。そうして建築の意味をつないでいけることは建築に携わる者にとって、難しいことだが幸せなことだ。

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